― 身体の気持ち ―

 ルジェナ城執務室。皇帝を継ぐ為の修行で、現在ルジェナ・ラジェス領主をしている俺がやらなければならない仕事は、すべてがここに集まってくる仕組みになっている。ごくたまに出掛けなくてはならないモノもあるが、そんなのは希だ。
 だが、動かないから退屈、というわけでもない。やらなくてはならないことは、たくさんある。少なくとも領地内の動きを把握していなくてはならないし、起こっている問題は解決しなくてはならない。さらに十日に一度は様々な方面の人々を集めての会食があるし、他にも単独で訪ねてくる人間も多い。
 妻のリディアは、事情が許す限り同じ部屋にいてくれる。すぐ側に置いた小さめな机で事務的なことをしていたり、刺繍をしていたり。特別な用事がなければ一緒にいられる。
 仕事を続けようと次に手にしたのは、出来るだけ早くに自分の入る墓を決めておけという皇帝、まぁ言い換えれば父親からの親書で、真剣に考えられなくて手を止めた。
 顔を上げてリディアを見ると、今は、……、どういうわけか何もしていないようだ。ただ椅子に座って机に肘を突き、いくぶん眉を寄せた暗い表情で、花瓶の花を眺めている。とりあえず仕事の区切りがついていたのでペンを置いた時、リディアがため息をついた。
 俺は立ち上がってリディアの側まで歩を進めた。隣に立ってようやく気付いたのか、リディアは見上げて笑みを向けてくる。いつものように、その唇にキスをした。
「浮かない顔してる。何かあった?」
 その言葉に、リディアは力の抜けた息をついた。
「ここのところ毎日、私宛にお花が送られてくるの」
「花? 誰から?」
 聞き返した俺に、リディアは一度うなずくと言葉を繋ぐ。
「ラジェスの資産家の息子さんらしいの。お花と一緒に本人が来た時に、やめてくださるようにお願いしたのだけど」
「やめてくれないんだ?」
 リディアはため息をつきながら首を縦に振る。
「お花屋さんに言っても、返品はできませんとか注文を断るわけにはいきませんとか言うし」
「そりゃそうだろうな。商売だし」
 その言葉に、リディアは苦笑した。
「でも、お花がもったいないわよね」
 身体の調子が悪いわけではないことに安心はしたが、やめろと言うのにやめてくれないのは問題だ。
「もしかして、これも?」
 リディアの目の前にある花を指差すと、リディアは違うと首を横に振る。
「いつも目に付くところに置くのはイヤだから、神殿に飾ってもらっているの。本人が来ることはほとんどないし、そのうちやめてくれるかなって思ってたのだけど」
 ほとんど来ないということは、たまには来るということか。なんにしても、それだけしつこく花を贈り続けるなんて、下心がありそうだと思う。
「迷惑だって断った方がいい。いらない、邪魔、あなたは嫌い、ってハッキリ言うしか無いんじゃないか?」
「きちんと断っているのよ? イージスさんや兵士さんにも受け取らないように伝えたのだけど、庭師や掃除のおばさんを通したり。もうソリストでもないのだから、気持ちを受け取れと言われても困るのよね」
 不意に壁が一面緑色になった。二人で呆気にとられて眺めるうちに、その緑は盛り上がって、おおよそ人の形を取り始める。ティオが壁を通って来たようだった。妖精なのだが、妖精というには語弊があるほどの怪物顔が懐かしい。
「どこから出てくるんだよ」
 笑いをこらえて言った俺に、ティオも満面の笑みを浮かべてみせる。
「だってフォース、ここが近かったんだ」
「久しぶりね」
 そう言ったリディアにティオは、うん、とうなずいた。
「今の聞いてたんだけどね、リディアがフォースになって断れば?」
「は? それってどういう……、ティオ?!」
 リディアと顔を見合わせるうち、視界がぼやけてきた。慌てて立ち上がったリディアがしがみついてくる。
「ティオ、お前一体何を……」
「その方があきらめてくれるでしょ?」
 リディアを抱きしめているのに、自分の身体が心許なく思える。頭の中にかかった靄が、一瞬真っ白になった。
 何が起こっているのか把握したくて目を開けると、目の前には確かに今朝身に着けた自分の服が見えた。見上げたところに、驚いた顔で見下ろしてくる自分の顔がある。
「お、俺……?」
 出てきた高い声に、思わず口を押さえる。その指は、細くて白くてしなやかなリディアのモノだ。
「……、フォース?」
 しかも、目の前で俺の名を呼んだのは俺の声。ということは。
「いっ?! 入れ替わってる?!」
「ティオ?! なんてことを!!」
 自分が口にした言葉がリディアの声で聞こえ、耳に入ってくるのが自分の声だ。ティオを捕まえようとした手が空を切る。サッと離れたティオがこっちに向き直り、笑みを浮かべた。
「一日経てば、元に戻るんだ。だからリディア、それまでに自分で断っておいでよ。フォースの姿なら怖くないでしょ?」
 その言葉にムカッと来る。
「そんなこと元のままでいいんだ! 今すぐ戻せ!!」
 って、リディアがこんなヒドイ言葉を口にするのは似合わない。似合わないがティオに逃げられるわけにはいかない。追いかけてはみたが、足に服がまとわりついて上手く走れないせいで追いつけそうにない。
「い、一日経ったら戻るんだよ? うん、だから大丈夫」
 ティオはチョロチョロと逃げながら、ウンウンと一人でうなずいている。
「全然大丈夫じゃないっ、今すぐ、」
 そこまで口にして、一日経てば、という言葉を思い出して立ち止まる。
「……、もしかして、戻せないんじゃないだろうな?」
「当ったりぃ! 一日経てば勝手に戻るけど、それまでは戻れないんだ。リディア、じゃなくてフォースなのに察しがいいなぁ」
「て、てめっ、バカじゃ」
 ないのか、と言おうとした口を後ろからふさがれた。身体を引き留めようとしたのか、もう一本の手が胸のあたりに回っている。
「声を抑えて」
 囁かれた耳と押さえられた胸からの感触が、ゾワッと体の芯に響く。
「はっ、離せ、分かったから離せっ」
「外に聞こえてたら大変」
 リディアはそう言い足してから、ゆっくりとリディアの体、つまり俺を解放した。
「私の声でそんな風に話しちゃイヤ」
 そう言ったのは俺の声だ。響きが可笑しかったのだろう、リディアは必死に声を潜めて笑っている。いや、この状況で笑えるって、肝が据わっているというかなんというか。
「分かったよ、たった今、物凄ーくよく分かりました。だからリディアも、じゃねぇ」
 落ち着くために言葉を切って、俺は深呼吸をする。
「フォースも気をつけてね?」
 いや、聞く分には自然だと思う。だが物凄く言い辛い。俺がそういう物言いをしていることが可笑しいのだろう、リディアは涙が出そうなほど大笑いしている。思わずため息が出た。
「このままじゃ埒があかない。寝室に移動しないか? 元に戻るまで立てこもってた方がいい。眠ってれば一日なんてすぐだ」
「そうね、それがいいわ」
 リディアは俺の声で返事をして、また大笑いしている。ティオもひっくり返って足をバタバタさせている。こんな状況じゃ俺は笑えない。頼むから勘弁してくれ。
「そんなんで、ここを出られるのか? ドアの外には見張りがいるのに」
 リディアは俺の顔で笑顔を向けると、咳払いをして真面目な顔になる。
「俺に任せろ。なんだったらリディアは一言も話さなくていいよ」
「は?」
 あまりの自然さに、呆気にとられた。リディアは俺にうなずいて見せ、言葉を繋ぐ。
「いつも一番側で言動を見ていたんだし、今は当人なんだから真似くらい簡単だ。むしろ真似している方がずっと自然だろ。バレない自信もある」
 まるで俺がもう一人いるみたいだと思う。ティオが喜んで手を叩きだした。
「リディア、すげーよ! フォースみたいだ!!」
 なんだかティオのその言動が癪に障る。
「なに喜んでんだよ。お前のせいだ、お前のっ!」
 ティオは俺のことなどまったく気にならないのか、ケラケラ笑って喜んでいる。リディアは俺の顔で上から見下ろしてきた。
「変?」
「いや、全然……」
 そう返すと、控えめな笑みを浮かべる。
「じゃあ、任せて。むしろ話さないでいてくれた方がいいの。フォースが私みたいな話し方してるって思ったら可笑しくて」
 そう言ったかと思うと、また笑っている。大勢いる信者の前で聖歌を歌っていたのだから、度胸が着いているのかも知れない。でも、もういい加減笑わないで欲しいというか、出来ることなら俺の顔でその言葉遣いはやめて欲しい。いや、これはお互い様なのかも知れないが。俺はため息を押さえられず、顔を覆った。
「了解。黙ってるから頼むよ」
 リディアはうなずくと、いつも俺がするように机から鍵を出してドアに向かった。その後から着いていく。振り返ったリディアと視線を合わせると、リディアは一息ついてからドアを開けた。見張りに立っていたイージスが、敬礼を向けてくる。
「お出かけですか?」
「いや、部屋に戻る。リディアが少し調子悪いようなんだ」
 俺の姿のリディアは、そう言いつつドアに鍵をかけた。お目付役というか教育係のタスリルさんがいない時で、良かったんだか悪かったんだか。
「大丈夫ですか?」
 不意に問いを向けられて、俺はただ小さくお辞儀をした。リディアは、ありがとう、と言うと俺の腰のあたりを引き寄せる。
「たいしたことはないと思うけど、大事をとって休ませるよ。食事も部屋に頼む。廊下から声をかけてくれればいい、一日誰も部屋に入れるな」
「かしこまりました」
 再び敬礼するイージスに背を向け、リディアは俺を気遣うような素振りで歩き出した。長い裾が歩きづらいので支えてくれるのは助かる。むしろそれが演技じゃない分、具合が悪そうに見えるかもしれないと思った。
 そのまま寝室まで歩く。幸運なことに、途中は誰にも会わずに済んだ。部屋に入って、二人で冷めた笑いを交わす。
「あれ? そういえば、ティオは?」
「最初から着いてきてないわ」
 そう言うと、リディアはまた吹き出した。もう苦笑しか出てこない。
「そりゃそうか。ここまで来たら思い切り叱られるって分かってるだろうし」
 それでも、ほんの少しでも笑えるようになったのは、余裕が出てきたからなのかもしれない。
「それにしても、リディアにこんなに度胸があるなんて知らなかった」
「城都の神殿で歌う時と変わらない」
「やっぱりそのせいか。でも、助かったよ」
 笑みを浮かべて見つめ合う。でも見えているのは自分の顔だ。ちっとも嬉しくないし癒されもしない。
「駄目だ。本当に寝ちまおう」
 俺の提案に、リディアはうなずいた。
「どっちに寝る?」
「いつもの場所でいいよ。身体には慣れないかもしれないけど」
「そうね、その方が落ち着けそう」
 そう言いながら奥の部屋に入ろうとしたリディア、というか、俺の身体が引き返してくる。
「どうした?」
「お休みのキスは?」
 そんなことは微塵も考えていなかったので、思わず腰が引けた。
「え。そ、それは……」
「身体がしたいって言ってる」
 その言葉に動悸が大きくなった気がして、一瞬逃げるのが遅くなった。側に来たリディアにグイッと腕をつかまれる。改めて見ると自分がデカい。ってか、なんだか怖い。
「ちょっ、ちょっと待て。自分の顔を至近距離で見たくな、うわっ」
 腕を引き寄せられて抱きしめられ、動けなくなる。
「目をつぶれば見えないから」
 逃げ腰なのは自分の気持ちだけで、身体は諦めてでもいるように動けない。手が頬に添えられて上を向かされ、キスが降りてきた。舌が入ってきて深く探られる。
 自分が持っているのはほとんど恐怖感と変わらないが、身体は自然にキスを受け入れている。身体に付随する男の気持ちとか女の気持ちまでは、入れ替わっていないということか。
 いつもリディアはこんなキスどころか、すべてを優しく受け止めてくれる。ってか強引すぎて息が苦しい。唇が離れてホッとしたところに自分の顔が見え、顔がカッと熱くなる。
「真っ赤」
「だって恥ずかしいだろうが」
 返した言葉すら、異様に恥ずかしい。自分の顔なんて、もう見たくない。だが、黙って見下ろされているのは耐えられず、その顔を見上げた。
「な、なんだよ」
「抱きたくなってきた」
「は?! ば、バカ言うな!」
 とはいえ、その言葉にからだが反応しているのが分かる。このままここにいたら、抱かれてしまうんだろうかと不安になる。
「逃げないで。逆の立場だとどんな感じか知りたいでしょう?」
「そりゃ、ちょっとは、あっ?! ま、待て」
 迷った隙に両手首を取られ、壁に押しつけられた。顔が少しずつ近づいてくる。
「待たない。待ってくれないのも、そのままお返し」
「や、やめ、んんっ」
 強引なキスの間に、腕は片方の手で頭の上に押さえられた。空いた手は胸に添えられ、口を解放した唇は迷うことなく首筋を降りていく。
「気持ちは初めてでも身体は初めてじゃないから痛くないし、大丈夫」
「い? 痛くないって、ああっ」
 胸をまさぐっていた手に、ほんの少し力が加えられた。身体の奥の方を快感が巡る。
「それに、夫婦なんだから最後までしても全然問題ない」
「冗談っ!!」
 抱きしめようと思ったのか、手が離れた隙に、俺は腕の中から逃げ出した。刺さったままの鍵を開けて部屋を出、開いていた窓から庭に飛び降りる。リディアは窓から出ず、出入り口へ回ったようだ。
 庭の隅に、数本の木を植えている場所がある。そこまできて立木の陰に座り込み、ホッと一息ついた。
 俺はリディアが欲しくなったら、割と強引に迫っている。それでもリディアはいつも黙って受け入れてくれていた。怖くはなかったのかと不思議に思う。それだけ信頼してくれているなら嬉しいのだが。
 近くでガサッと枝葉がすれる音がした。リディアかと思ったが、知らない男がいる。
「リディアさんじゃないですか。こんな時間にこんな所にいらっしゃるなんて。珍しいですねぇ」
 リディアの振りをしなくてはならないのが面倒臭いが、嫌に馴れ馴れしいのが気にかかる。
「あの、失礼ですがどちら様ですか?」
「いやだなぁ、毎日お花を送らせていただいているじゃないですか」
 こいつか! こいつのせいで、こんな目に遭っていると思うと、向かっ腹が立つ。
「どうしたんです? あの領主様とケンカでもなさいましたか」
 あの、ってのはなんだ。しかもニヤッと笑ったように見えた。
「彼は非常に強引な方なようですからね、腹が立つこともあるでしょう」
 そう言いながら、男は勝手に隣に座り込んだ。慌てて身体をずらし、男と少し間をとる。
「そうかもしれません」
「かも、ですか? 面白い方だ」
 ハハハ、と、いかにもさわやかそうに笑いながら、男はまた距離を少し詰めてくる。ハッキリ言って気持ちが悪い。
「なんだか今日は、激烈に色っぽいですね」
 背筋がゾッとした。耐えられずに立ち上がろうとした俺の腕をつかんで向き合わされ、息を飲む。
「私なら、なんでもあなたの言いなりですよ。あなたを心から愛している」
「だったら離してください」
「それはイヤです」
 男のその言葉に、思わず吹き出しそうになる。
「はぁ? 嘘つきだな」
「嘘じゃありません。私はあなたを愛していますよ」
「そこじゃなくて、今、言いなりって、?!」
 男の手にいきなり力が加わった。草の上に押し倒され、男が覆い被さってくる。
「やっ、やめっ、く……」
 抵抗しようにも力が足りない。両腕を頭の横に押さえ付けられる。近づいてくる顔を避けようと身体をひねって抵抗した。自分の動悸がガンガンと頭に響く。
「大丈夫、悪いようにはしませんよ」
「してるだろうが、大嘘つき! 離せ、バカやろっ、この身体は大事な」
 ゴン、と大きな音がして、男が頭を抱えて上体を起こした。その向こうに鞘ごとの剣を持ったリディア、俺の身体がいる。
「なっ、なにをするんですか。彼女とは合意の上で」
「そんなわけがあるか! リディアの青い顔が見えないのか!」
「あんたから逃げてきたからじゃ……」
「はぁ? まぁ、もしそうだったとしても、合意しているしていないは関係ない。リディアは俺だけのモノだ、気安く触るな!」
 リディアは剣を抜いて、切っ先を男に突きつけた。男は俺の上から逃げ出すと、腰が抜けたような格好のまま、じりじりと下がっていく。
「慣れてないからな。手元が狂ったらお前は串刺しだ」
 そりゃ慣れなんて微塵もないだろう。だが、切っ先がブレていないだけ凄いと思う。男はそのリディアの言葉を聞いて、冷めた笑いをひねり出す。
「リ、リディアさんっ、聞きましたか? メナウルでは上位騎士だったくせに、コイツも大嘘つきだ!」
「……、いや、今現在限定で、全っ然嘘じゃないんだけど」
 思わずつぶやくと、男は目を丸くする。
「なっ、今なんて?!」
「怒りにまかせて剣を抜く、なんてのは慣れていないって言ったんだ」
 リディアがそう凄んで一歩前に出ると、男はその分だけ後ろに下がった。リディアは俺を庇って前に出る。それにしても気迫があって怖いくらいだ。普段からよっぽど腹を立てていたのだろうか。
「サッサと失せろ。二度とリディアに近づくな。今度顔を見るようなことがあったら命は無いと」
「レイクス様!」
 俺の身体の向こう側から、ジェイストークとイージスが駆けつけてくるのが見えた。二人をチラッと見やったリディアは、肩をすくめる。
「もとい、もう命は無いみたいだ」
 ヒッと短い悲鳴を上げ、男は固まっている。
「リディア様、どうなさいました?」
 イージスが心配そうな顔を、俺に向けてくる。
「その人が、私を襲おうと……」
 俺には、それだけ言うのがやっとだった。それだけなのに声が震えたのは、自分が恐怖感から解放されていないからだろう。ジェイストークとイージスは、サッサと男を捕縛にかかる。リディアは俺を支えるように腕を回した。
「何があったんです?」
 ジェイストークは、いつもと違う何かを感じたのだろう。だがそう聞かれても、今答えるのは遠慮したい。ジェイストークの向けた視線を、リディアがまっすぐ見返す。
「詳しい話しは明日以降だ。こっちが先」
 こっちと言われた俺に視線が集まってきて、リディアの見事なやりとりにポカンと開けていた口を慌てて閉じる。
「大丈夫か?」
 俺の声でリディアにそう聞かれ、はい、とだけ返事をした。リディアは俺がいつもするように、手を挙げるだけの挨拶をして歩き出す。俺はリディアに俺の腕で擁護されながらその場を後にした。